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むすめとおおきなかね

娘と大きな鐘

小川 未明

「赤い鳥」1924(大正13)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,769 字 · 8 页

青空文庫

なんでも古くなると力が弱って、重いものをささえることができないとみえます。

村の人たちは、みんな鐘つき堂に集まってきました。そして、鐘を動かそうとしましたけれど、どうしても動きませんでした。しかたなく、幾十年も、鐘はそのままになっていました。

そのうちに、この時分の年寄りたちは、みんな死んでしまいました。そして、若い人たちの時代になったとき、鐘つき堂を修繕して、供養をし、おおぜいの人々が鐘を動かしました。鐘は、みんなの力で動きました。ふたたび、大きな鐘はつるされたのであります。

しかし、どういうものか、その鐘を鳴らしますと、いかに、いい天気の日でも、たちまちのうちに、池のある方の、あっちの山の頂に黒雲がわいて出て雨になったり、風が吹いたりするのであります。それ以来、この鐘を鳴らすものがなくなりました。

いつまた、頭の上から、大きな鐘が落ちるかわからないのと、なんとなく、気味悪いのとで、村の子供らもこの鐘つき堂へ遊びにきません。寺はこうして、荒れるにまかせていました。平生は、だれも、このお寺へはまいりませんが、夏になって、旱がつづきますと、村人が集まって相談をするのでした。