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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
」父親の弟は病人でねていた。十二のひろ子が八時頃やっとかえって来て、七輪の上にかけられている雑炊鍋から夕飯をたべる頃、「しめ切った六畳の間でみんなが内職をしていた。」電燈の明りにその茶色の毛くずを舞い立てながら祖母が編ものの毛出し内職を、「隅の壁ぎわでは病人が床の上に腹這って」雑記帖の表紙になるバラの花や小鳥の絵を緑色の紙にかいていた。体を使う仕事に耐えないで失業している父親は、「ひろ子も一つこれをやってみるか」と何気なさそうな態度と言葉で、キャラメル工場の女工募集の広告のある新聞を投げ出した。
「どうした、ひろ子」
しばらくして父親はそう云って薄笑った。
「だって学校が……」
そう云いかけるのと一緒に涙が出て来た。
「まだお前、可哀想に……」
「あなたは黙ってらっしゃい」
「ひろ子の弟がなぐさめ顔に時々そっとひろ子をのぞいた。床の中で病人は仰向きに目をつぶっていた。もう翌日、十三の小さいひろ子は、その工場で事務員と父との交渉の間にぽつんとほうり出されていた。」かえり道で父親はひろ子をそば屋へつれて入った。前こごみにあぐらをかいて低いお膳の上で酒をつぎながら父親は上機嫌だった。