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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
した、その目新しさも生じなかった。
プロレタリア文学運動も高まるだけの必然をもっていた当時の日本の社会的な感覚の目ざめに動かされて、新感覚派に属していた片岡鉄兵が、プロレタリア文学にうつり「綾里村快挙録」という彼の代表的農民小説を書いたばかりではなかった。ドイツ文学の教師から出発して人道主義風の作品を書いていた山本有三が、彼の文学経歴の中で社会的意味の大きい「波」「風」「女の一生」等を生み出したことも記憶されるし、上司小剣が「東京」という大長篇を思い立って第三部まで執筆したことも見落せない。ゾラに「巴里」がある。震災で古い東京はなくなった。その思い出のためというばかりが、小剣のモティーヴではなかった。社会の渦の中心としての都市「東京」が描きたかったのであろう。しかしこの大長篇が、完成されなかったということも同時に記憶されることである。広津和郎がこの頃盛に書いていた連載ものの一つに「女給」というのがあった。プロレタリア文学理論に対しては懐疑的な一面をすてないこの作者も、「女給」は、ただ享楽の対象としてではなく女が働いて生きてゆく形として、三上於菟吉その他の大衆文学とは異った面から描こうとした。