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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

「田園の憂鬱」「都会の憂鬱」の作者佐藤春夫が執筆していた「心驕れる女」という通俗作品に登場する人物にさえ時代の空気は流れ入っていた。通俗小説さえその現代性を粉飾する要素として、左翼的な若い男女の行動や心理を、歪め、誤解し、逆宣伝しつつその中にとり入れていたのであった。

両性問題がこの時代のように社会関係と道徳の建て直しの意味で広汎に論議され、広汎な現実で試みられた時期は、おそらく明治開化期以来なかっただろうと思う。

第一次大戦後の経済恐慌によって未曾有な失業の問題が社会の前面に立った一九一九年以後、男女の失業、生活難による婦人の貞操問題がやかましく云われて、当時創刊された『婦人の国』などは「貞操十字軍の高唱」を標語としたほどであった。同時に、生活難に対する政策の一つとして、産児制限が常識のうちに当然のものとして地位を占めるようになったし、女にばかり向けられて来た「貞操」というものに、科学的研究が向けられるようになった。『青鞜』の時代、人格の問題としてだけ扱われた両性問題は、山川菊栄の訳した「結婚難・離婚流行の社会的研究」を『女性改造』が特輯したり、ベーベルの「婦人論」