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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
池田小菊が「甥の帰還」という作品で示した一定のまとまりまでには、発表した作品も少くなかった。
何故これらの婦人作家たちの存在が、ほかならぬ昭和十四年において、俄かに、群れ立ったような印象で雑誌の文芸欄を賑したのであったろう。そこには極めて複雑な要因が潜められていた。
先ずこの現象を考えようとするとき、私たちを沈思させる点は、この時期の婦人作家たちの活動が、決して現代日本文学の興隆の表現でなかったし、そのような本質のものとして歴史的に見られるものでもないという事実である。
現代文学の一つの時期として眺めると、昭和十四年は経済界の軍需インフレにつれて、出版界の乱調子な無責任な活況がおこり、インフレ出版、インフレ作家という呼び名さえ生じた時期である。一方では、文学の質の低下という問題が、深刻に露出して来た時代であった。書き下し長篇小説というものが流行したが、それらの長篇小説は文学作品としてのゆたかさ、高さを示すよりもひたすらそれをひきうけた作家の健康にたよったように書きおろされ、売られ、しかも、文学らしい文学をもとめる人々の心の渇きは愈々医されがたいという状況にあった。