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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

、その「私」に熱愛される「夫」である「彼も四十となり、情熱や感激に乗ってことをなす時は過ぎかかって、後半生は何に力を注ぐべきかを改めて思う年頃となった」(一人行く)

「こういう女」と「一人行く」との中には、このように意味深い人生過程の閃きが、いくところにかチラついている。日本の民主化の動き、そこにたぎる偽りのない熱意は、この作者にとって、微妙なそれらの諸点と、どういう角度で結ばれてゆくものであろうか。粘りづよい体温のたかいこの作者が、自由に作品の書けてゆく数にしたがってリアリスティックな客観性を深めひろめて、「こういう女」の蔵している真面目な諸モメントを社会的な視野で展開し、描き出して行ったとき、彼女の「施療室にて」が文学としてもった新しい意味は貫徹されるのである。

窪川稲子は、佐多稲子となった。この一つのことに、文学以前の婦人として、母としてのこの作家の未だ語らない幾多の思いがある筈である。彼女一人の思いとしてばかりではなく、「くれない」の女主人公の、後日につづく思いとして。よく生きようと努力しつづけているすべての女の思いとして。

自分というものに与えられた人間的可能を伸ばしひろげようとする熱心に燃え、女の消極を克服することに精魂を傾けて来た彼女は、連続した「私の東京地図」