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ふじんのそうぞうりょく
婦人の創造力
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十一巻」河出書房、1952(昭和27)年5月発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,667 字 · 31 页
人間の心の話としての文学の端緒はそこにある。だから文学は師匠が要らない。ところが音楽になると、声を出すこと、譜を読むこと、指を大変早くピアノの上を滑らす技術、そういうものがたくさんの分量を占めていて、どうしても先生がなくてはならないから、金持に独占されます。しかし文学は先生なしに、手紙を書き、日記を書き、恋文を書くことの中に心の声が歌い出すから、私どもにとっては、文学は生活に織込まれた芸術です。この文学の勉強のためには学校なんかいくらあっても役に立ちません。大学を卒業したからといって小説が書けるものではない。小説や歌をつくることは生活と心を結びつけて表現して行くのであって、個人の持っている天性の力もあるけれども、社会が十分にそれを認めて、どんなへんないい方でも、そのいい方の中にはその人の生活があり、私どものその時の生活が反映されているものとしてすくい上げて行く力、それがあれば、いたわられて社会の中に私共は伸びることができるのです。今までのように何を言ってもいけない、何を書いてもいけない、お前たちは黙って死んで行け、さもなければ牢屋へ放り込むというのでは自分たちの声を発揮することはできません。