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ふじんのせいかつとぶんがく
婦人の生活と文学
宮本 百合子
「朝日新聞」1947(昭和22)年2月3日号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,518 字 · 4 页
ある婦人が、ある事件・事情のなかで、そういう風に感動して生きた、という人間現実そのものについて、改めて感動する。それで、はじめて小説もかけるのである。
婦人の感受性はつよい。けれども、自分として感動した経験をそれだけで時とともに消させ鎮めさせてしまう。一重の個人的感動で終って、それを女としての感動、人間としての感動にまでひろげて二度目の感動を経験してゆく能力が弱い。婦人が、生活経験の多様さにかかわらず、それを人生的に収穫せず、文学的に再現しない理由だと思われる。
これは、日本のこれまでの社会が、すべての人の精神を、はっきり、社会人として目ざましていなかったせいである。今日青年たちの思いは千々であるのに、芸術への表現がおくれているのもそのせいであるし、婦人の文学的発言がためらいがちなのも、そのせいである。
すべての婦人が、きびしい現実を生きとおして来た今、これまでの女流文学的空気は、美しさの魅力もないし、人間真実に訴える力ももっていない。今日から明日への文学は、人生の根幹へ手を入れて、それをつかみ出して見直すだけの、社会的理解力を必要として来ている。