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ふじんさっか
婦人作家
宮本 百合子
「婦人と文学」附録、筑摩書房、1951(昭和26)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,898 字 · 58 页
一巻は、前期のロマンティストたちが歩み出すことのできなかった率直大胆な境地で、心と肉体の恋愛を解放した。『みだれ髪』は当時の日本に衝撃を与えて、恋愛における人間の心とともに肉体の美を主張したのであった。
「当世書生気質」には遊廓が描かれていた。「藪の鶯」の中では、いわゆる男女交際と、互いにえらびあった男女の結婚が限界となっていた。一葉の生活と作品の世界で「恋」は切なく、おそろしいものであった。紅葉は作家が自身の恋愛問題を作品として扱うことを「人前に恥をさらす」と考えた。藤村の「お小夜」「つげの小櫛」の境地は、『みだれ髪』にうたわれた女の、身をうちかける積極性と、何とちがった抒情の世界であるだろう。『みだれ髪』は現代文学の中に、はじめて女性が自身の肉体への肯定をもってたちあらわれた姿であった。
晶子のこのような生命の焔、詩の命が、みじかい数年の後に次第に色あせてゆき、官能の自然発生的なきらめきを、その作歌の中で成長させ高めてゆくことが出来なかったのは遺憾である。一九四二年にその長い生涯をとじるまで、晶子は文学活動においても母としても実に多産であった。