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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

」

「あんな事ばかり云って、」

と、主税を見て莞爾して、白歯を染めても似合う年紀、少しも浮いた様子は見えぬ。

それから、小芳は伏目になって、二人の男へ茶を注いだが、ここに居ればその役目の、綱次は車が着いた時、さあお帰りだ、と云うとともに、はらはら座敷を出たのと知るべし。

酒井は軽く襟を扱いて、

「そこで、御馳走は、」

「綱次さんが承知をしてます。」

「また寄鍋だろう、白滝沢山と云う。」

「どうですか。」

と横目で見て、嬉しそうに笑を含む。

「いずれ不漁さ。」

と打棄るように云ったが、向直って、

「早瀬、」と呼んだ声が更まった。

「ええ。」

「先刻の三世相を見せろ。」

一仔細なくてはならぬ様子があるので、ぎょっとしながら、辞むべき数ではない。……柏家は天井裏を掃除しても、こんなものは出まいと思われる、薄汚れたのを、電燈の下に、先生の手に、もじもじと奉る。

引取って、ぐいと開けた、気が入って膝を立てた、顔の色が厳しくなった。と見て胆を冷したのは主税で、小芳は何の気も着かないから、晴々しい面色で、覗込んで、

「心当りでも出来たんですか。」

不答。煙草の喫さしを灰の中へ邪険に突込み、