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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页
その子分が、道学者に冷かされるような事を、なぜするよ。
(世間に在るやつでごわります。飼犬に手を噛まれると申して。以来あの御門生には、令嬢お気を着けなさらんと相成りませんで。)坂田が云ったを知ってるか。
馬鹿野郎、これ、」
と迫った調子に、慈愛が籠って、
「さほどの鈍的でもなかったが、天罰よ。先生の目を眩まして、売婦なんぞ引摺込む罰が当って、魔が魅したんだ。
嫁入前の大事な娘だ、そんな狐の憑いた口で、向後妙の名も言うな。
生意気に道学者に難癖なんぞ着けやあがって、汝の面当にも、娘は河野英吉にたたッ呉れるからそう思え。」
「貴郎、」
と小芳が顔を上げて、
「早瀬さんに、どんな仕損いが、お有んなすったか存じませんが、決して、お内や、お嬢さんの……(と声が曇って、)お為悪かれ、と思ってなすったんじゃござんすまいから、」
「何だ。為悪かれ、と思わん奴が、なぜ芸者を引摺込んで、師匠に対して申訳のないような不埒を働く。第一お前も、」
稲妻が西へ飛んで、
「同類だ、共謀だ、同罪だよ。おい、芸者を何だと思っている。藪入に新橋を見た素丁稚のように難有いもんだと思っているのか。