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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

書生は玄関どたんばたん。女中はちょうど、台所の何かの湯気に隠れたから、その時は誰も知らなかったが、知れずに済みそうな事でもなし、またこれだけを切取っても、主税の迷惑は隠されぬ、内へだって、新聞は他に二三種も来るのだけれども、そんな事は不関焉。

で、教頭の説くを待たずして、お妙は一切を知っていたので、話を聞いて驚くより、無念の涙が早かったのである。

と書生はまた、内々はがき便見たようなものへ、投書をする道楽があって、今日当り出そうな処と、床の中から手ぐすねを引いたが、寝坊だから、奥へ先繰になったのを、あとで飛附いて見ると、あたかもその裏へ、目的物が出る筈の、三の面が一小間切抜いてあるので、落胆したが、いや、この悪戯、嬢的に極ったり、と怨恨骨髄に徹して、いつもより帰宅の遅いのを、玄関の障子から睨め透して待構えて、木戸を入ったのを追かけて詰問に及んだので、その時のお妙の返事というのが、ああ、私よ。と済したものだった。

それをまたひとりでここで見直しつつ、半ば過ぎると、目を外らして、多時思入った風であったが、ばさばさと引裂いて、くるりと丸めてハタと向う見ずに投り出すと、もう一ツの柱の許に、その蝙蝠傘に掛けてある、主税の中折帽へ留まったので、