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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

兄さんも、どんなにか妙子さんを好いていると見えて、一体が遊蕩過ぎる処へ、今度の事じゃ失望して、自棄気味らしいのよ、遣り方が。自分で自分を酒で殺しちゃ、厭じゃありませんか、まあ、」

と一際低声で、

「ちょいと、いかな事ても小待合へなんぞ倒込むんですって。監督の叔父さんから内々注意があるもんだから、もう疾くに兄さんへは家でお金子を送らない事にして、独立で遣れッて名義だけれども、その実、勘当同様なの。

この頃じゃ北町(桐楊塾)へも寄り着かないんですって。

だってどこに転がっていたって、皆お金子が要るんでしょう。どこから出て? いずれ借りるんだわ。また河野の家の事を知っていて、高利で貸すものがあるんだから困っちまう。千と千五百と纏ったお金子で、母様が整理を着けたのも二度よ。洋行させる費用に、と云って積立ててあった兄さんの分は、とうの昔無くなって、三度目の時には皆私たち妹の分にまで、手がついたんじゃありませんか。

妙子さんの話がはじまってからは、ちょうど私も北町へ行っていて知っているけれど、それは、気の毒なほど神妙になったのに。……

もともと気の小さい、懐育ちのお坊ちゃんなんだから、遊蕩も駄々で可かったんだけれど、それだけにまた自棄になっちゃ乱暴さが堪らないんだもの。