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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

」

主税は堪えず失笑したが、向直って話に乗るように、

「まあ、可い加減にして、疾く一人貰っちゃどうだ。人の事より御自分が。そうすりゃ遊蕩も留みます。安保箭五郎悪い事は言わないが、どうだ。」

「むむ、その事だがね。」

とぐったりしていた胸を起して、また手巾で口を拭いて、なぜか、縞のズボンを揃えて、ちゃんと畏まって、

「実はその事なんだ。」

「何がその事だ。」

「やっぱりその事だ。」

「いずれその事だろう。」

「ええ、知ってるのか。」

「ちっとも知らない、」

と煙管を取って、

「いや、真面目に真面目に、何か、心当りでも出来たかね。」

縁談

十六

時に河野がその事と言えば、いずれ婦に違いないが、早瀬はいつもこの人から、その収紅拾紫、鶯を鳴かしたり、蝶を弄んだりの件について、いや、ああ云ったがこれは何と、こう申したがそれは如何。無心をされたがどうしたものか、なるべくは断りたい、断ったら嫌われようか、嫌われては甚だ不好い。一体恋でありながら金子をくれろは変な工合だ、妙だよ。その意志のある処を知るに苦む、などと、※紅をさして、蚯蚓までも突附けて、意見? を問われるには恐れている。