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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页
いいえ、私が肯かないわ、とお源をつかまえて談ずる処へ、熱い湯だった、といくらか気色を直して、がたひし、と帰って来た主税に、ちょいとお前さん、大丈夫なんですか、とお蔦の方が念を入れたほどの勢。
二十三
何が大丈夫だか、主税には唐突で、即座には合点しかねるばかり、お蔦の方の意気込が凄じい。
まだ、取留めた話ではなし、ただ学校で見初めた、と厭らしく云う。それも、恋には丸木橋を渡って落ちてこそしかるべきを、石の橋を叩いて、杖を支いて渡ろうとする縁談だから、そこいら聴合わせて歩行く中に、誰かの口で水を注せば、直ぐに川留めの洪水ほどに目を廻わしてお流れになるだろう。
けれども、なぜか、母子連で学校へ観に行った、と聞いただけで、お妙さんを観世物にし、またされたようで癪に障った。しかし物にはなるまいよ、と主税が落着くと、いいえ、私は心配です。どこをどう聞き廻ったって、あのお嬢さんに難癖を着けるものはありません。いずれ真砂町様へ言入れるに違いますまい。それに河野と云う人が、他に取柄は無いけれど、ただ頼もしいのが押の強いことなんですから、一押二押で、悪くすると出来ますよ。