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よめとりむことり
嫁取婿取
佐々木 邦
「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页
子供の多い家庭
子供の多い家庭
「これ/\、俊一、二郎、じゃあなかった。英彦、いや、雅男、一寸その新聞を取っておくれ。そのお前の側にあるのを」
と、山下さんはこれを能くやる。男の子を一人呼ぶのに、家中の名前を口に出す。細君も、
「安子、清子、じゃあない。春子、あら厭だ。芳子、一寸来ておくれよ」
とつい四人前呼んでしまうことがある。
山下家は四男四女、偏頗なく生んだ。元来山下さんはこの頃の人達と違って、全然子供を欲しがらないことはなかった。
「夫婦は自分の後継者として男の子を一人、女の子を一人育てなければ、国家に対して申訳が立たない」
と定説らしいものを持っていた。この故に長男長女と揃った時は申分なかった。しかしその中に、
「女の子は何うせくれてしまうのだけれど、男の子は真正の跡取だから、万一間違があると玉なしになる。用心の為めもう一人あっても宜いよ」
と考え直す必要が起った。それから間もなく、生れたのは男の子でなくて女の子だった。当てが外れたけれど、諦めは直ぐについた。兎に角一番上が男の子だ。早く楽が出来ると思った。しかし一年たゝない中に、
「女二人に男一人のところへもう一人男が生れゝば数が丁度好くなる」