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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页

青空文庫

然るべき人を介して直ぐに申入れてくれ給え。君もあれっきり寄りつかないとはひどい。絹子も不安を感じているに相違ない。僕は君が時折留守見舞ぐらいしてくれているのだろうと思って、全く安心していたんだ。冷静は結構だが、少し冷淡じゃないか? 僕がズベって返辞を書かなかったから、憤っているのか? それならあやまる。忌々しいけれど、妹の為めだ。仕方がない。家へは僕から折返し言ってやったから、君も安心して至急取計らってくれ給え。御両親には無論もう打ち明けてあるんだろう? 云々。

「何て野郎だろう? この手紙がもう一日早く来れば、こんな心配はしない」

と俊一君は呟いたが、多大の安心を感じて、客間の方へ引き返した。しかし入っていく度胸はない。少時行きつ戻りつした後、再び書斎に納って、絹子さんのことを考えていた。

客間では、

「斎藤さん、あなたはその娘さんを御存知でいらっしゃいますの?」

と山下夫人が待ちもどかしがって口を切った。

「さあ」

「…………」

「何うしたものでしょうかな?」

と斎藤さんは尚お図々しく焦らし続ける。

「実は今日はそのことが心配になりまして……」

「まあ/\、お前は黙っていなさい」