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こをつれて

子をつれて

葛西 善蔵

「早稲田文学」1918(大正7)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,970 字 · 34 页

青空文庫

こんな処へ落ちて来るということは寧ろ自然なことであらねばならなかった。

(魔法使いの婆さんがあって、婆さんは方々からいろ/\な種類の悪魔を生捕って来ては、魔法で以て悪魔の通力を奪って了う。そして自分の家来にする。そして滅茶苦茶にコキ使う。厭なことばかしさせる。終いにはさすがの悪魔も堪え難くなって、婆さんの処を逃げ出す。そして大きな石の下なぞに息を殺して隠れて居る。すると婆さんが捜しに来る。そして大きな石をあげて見る、――いやはや悪魔共が居るわ/\、塊り合ってわな/\ぶる/\慄えている。それをまた婆さんが引掴んで行って、一層ひどくコキ使う。それでもどうしても云うことを聴かない奴は、懲らしめる為め何千年とか何万年とかいう間、何にも食わせずに壁の中や巌の中へ魔法で封じ込めて置く――)

これがKの、西蔵のお伽噺――恐らくはKの創作であろう――というものであった。話上手のKから聴かされては、この噺は幾度聴かされても彼にはおもしろかった。

「何と云って君はジタバタしたって、所詮君という人はこの魔法使いの婆さん見たいなものに見込まれて了っているんだからね、幾ら逃げ廻ったって、そりゃ駄目なことさ、それよりも穏なしく婆さんの手下になって働くんだね。