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こどものためにかくははたち

子供のために書く母たち

宮本 百合子

「村の月夜」にふれつつ

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,425 字 · 9 页

青空文庫

と追懐をもって語ったことがあった。

私たちが小さかった頃の読物は巖谷小波が筆頭で、どれもみな架空の昔風なお伽話であった。さもなければ、継母、継子の悲惨な物語か曾我兄弟のような歴史からの読物である。普通の子供が毎日経験している日常生活そのものを題材としてとりあげて、その中から子供の心に歓びや緊張、努力、風情、健全な想像力をひき出してゆくような物語というものは、私の子供時代にはもちろんなかったし、現在でもまだ数少いのではないだろうか。

ソヴェト同盟の文化、文学の建設は、さまざまの過程を経て今日先進的な水準をもっているのであるが、子供のための文学の問題は、その後どう解決され、進展しているであろうかと興味を動かされる。私がモスクワにいたのは一九三〇年の暮までであった。当時、文学運動に関する討論の一部として児童文学のことが論議され、それがある人のその文学の到達点にまでいたっていないことについて批判が行われていた。少年らのグループが作家の団体へ、あなた方の文学上の才能を、未来の担い手であるわれわれのためにもっと十分発揮してくれ、という公開状をよせたりして、この問題は活溌な注目の下にあった。