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うちゅうのにだいせいりゅう
宇宙の二大星流
寺田 寅彦
「東京朝日新聞」1907(明治40)年12月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,116 字 · 5 页
一群の星は前述のリーラ星座より発して四方に展開しつつあるがごとく、他の一群は北天カメロパルダリス星座の辺より馳せ出るようである。つまり大小の群星には二つの党派があってそれぞれの根拠地より出でて互いに入り乱れつつも目ざす処に馳せ行くがごとき有様である。しからば吾等諸遊星の組頭とも云うべき太陽はどちらの党派に属しているだろうかという疑問が起る。悲しい事には吾々太陽の陪臣微々たる人間の目には堂々たる太陽の歩武がどちらに向いているという事がはっきり分らぬが、ただ周囲に動いている諸星の中でリーラ派のは速く動くように見え、カメロパルダリス派のは割合に吾等と歩調の差が少なく見えるから、先ず吾等は後の派に属するものと考えねばならぬ。
ハーシェルはリーラ座より発するごとき諸星の運動のみを見てこれは太陽がこの星座の方に動いているためだと解釈したが、カプタイン一派の考えでは天体には二つの大きな星の流れがあって二つの方向に交叉しているというのである。この説が一般に採用されるかどうかという事はなお他日を待たねばならぬが、とにかく天体の運動に関して光明を与うる一大発見と云わねばなるまい。