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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

そのとき魚戸は、大きく両眼をむいて僕の方へ顔をよせながら、声をおさえていった。

「ロケットだ。総トン数は一万トンを越える大ロケットだ」

「えっ、ロケット?」僕の心臓は大きく鼓動をうって停った。「本当かい、それは……。で、ロケットでどこへ飛ぶのか」

「分らない。どこへ行くのか。おれは知らない。しかし一万トン級のロケットを飛ばすところから考えて、地球の上の他の地点へ行くのでないことだけは確かだと思う」

「冗談じゃないぞ」

と、僕は叫んだが、それは魚戸のいうことを否定した意味ではなかった。

二人は、急に黙ってしまった。「非常な超冒険旅行」が何であるか、その神秘な実体がようやくヴェールを透してうっすりと見え始めたのだ。ひしひしと迫り来る真実なるものの重圧下、僕たちは頭を抱えて低く呻吟するばかりだった。

おおロケット! どうしたかリーマン博士! 彼はわれわれをこの艇内に押籠めて、地球を後に決然大宇宙へ飛ぼうとするのだ!

記者倶楽部

正六面体の例の部屋に、「記者倶楽部」という標札が掲げられた。給仕がやってきて、戸棚と向き合った壁の上に、その札を釘づけにしたのであった。