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うちゅうせんぺい
宇宙尖兵
海野 十三
「新青年」1943(昭和18)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页
リーマン博士から口説かれた内容は、まあこのくらい述べておくことにして、結局僕はそれに乗ってしまったわけである。現在の僕の生活に於ける絶望と退屈とが、まず大体の動向を決定してしまったというわけで、向うさんのいう条件をいちいち、衡器に掛けて決定したわけではない。僕の気の短いことは誰でも知っている。その代り諦めのいいことはまず誰にも負けないし――といってこれは余り自慢になる性格じゃないが――しょっちゅう早合点をして頭を掻いてばかりいるのだ。リーマン博士が、僕なら生命の安売りをするだろうと白羽の矢をたてたのも尤もである。しかし一体誰が僕を博士に耳うちしたのであろうか。
さてその「非常な超冒険旅行」へのベルリン出発は、その日の真夜中午前二時だと示達された。あまりに早急な出発であるから、僕はいささか未練がましく延期を求めたが、博士は気の毒そうな顔で首を左右にふった。
「この機密が漏洩することを極端におそれるのです。さっきも念を推しておいたが、このことは誰に対しても厳秘を守っていただきたい。日本人の貴方ゆえに、充分信用してはいるが、これはわれわれの任務の成否に関する重大な岐路となるのでねえ」