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うちゅうせんぺい
宇宙尖兵
海野 十三
「新青年」1943(昭和18)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页
さあ立ちたまえ」
ベラン氏は、僕の腕を掴んで引立てた。僕は仕方なしに立った。だがその日は退屈でもあったので、暇つぶしに、ベラン氏対リーマン博士の押問答を見物するも一興だと思い、ベラン氏の引立てるままに、倶楽部を出ていった。
氏は、艇内をあっちこっちと引張り廻し、階段を上ったり下ったり、僕の足を棒のようにさせたが、遂に或る一つの扉の前に連れていった。
「ちょっと先に中へ入って、様子を見てくる。君はここに静かにして待っていたまえ」
ベラン氏は、僕を扉の外に残して、彼自身はまるで空巣狙いのように、そっと部屋の中に忍びこんだ。
それから四五分経った後、扉が静かに開いたら、ベラン氏が顔を真赤に染めて出てきた。
「静かにするんだ。今、あの素晴らしい実験が始まっている。隣りの部屋から、そっと見下ろすことができるのだ。幽霊のように足音を忍ばせてついてきたまえ」
僕は、そのときもまだ疑っていた。しかしベラン氏に連れられて、中へ闖入し、氏の指さす戸棚を攀じ登って、その上から硝子窓越しに隣室の光景を俯瞰したとき、僕は初めてベラン氏の言の真実なることを知った。
その部屋は、すごく大きな部屋だった。