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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

あたりを見廻す。いやに真四角な部屋だ。正六面体の部屋だ。中の調度は、小さな客間といった感じで、出入口のついている壁を除く他の三方の壁には長椅子が押しつけてあり前に細長い卓子が置いてある。出入口のついている壁には、大きな鏡のついた戸棚がとりつけてある。天井には、グローブ式電灯が嵌め込んである。ちと無風流な部屋だ。そして一体ここは何処だか、僕の記憶にないところだ。

「目が覚めたようですね」

いきなり話しかけられた。

「えっ」

僕はびっくりして、声のした戸口の方をふりかえった。

だが、そこには誰も立っていなかった。扉はしまったままだし、鏡付の戸棚が冷く並んでいるばかりだった。

「そんなに愕くことはありません。私はリーマンですよ」

姿なき者はそういった。なるほどリーマン博士の声音にちがいなかった。僕はぎくりとしたが、同時に腹が立った。

「リーマン博士。この仕打は、あまり感心できませんね。僕に一言のことわりもなく、知覚を奪ってこんな牢獄へ引張り込むなんて……」

僕はわざと牢獄という言葉を使った。例の箱型自動車十三号の中で僕は電灯のスイッチをひねると共に昏倒したことを、このときになって思い出したのだった。