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あんごのしんにほんちり

安吾の新日本地理

坂口 安吾

03 伊達政宗の城へ乗込む――仙台の巻――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,085 字 · 48 页

青空文庫

政宗の本心は宗教をダシに新エスパニヤと貿易したいことだった。一方、紹介役のソテロは、日本の布教がイエズス会に牛耳られているのが不満で、自己の所属するフランシスコ会にも司教をおかせ、自分が司教になりたい考えであった。両者の希望は食い違っているが、田舎策師の政宗も、日本渡来のバテレン中で最大の策師たるソテロも、それは充分心得ていたであろう。要するに両者の希望は別々でも、相助け合って両者の希望を実現すれば足るのである。幕府がソテロの口車にのって動く見込みがないからソテロとしては田舎豪傑の政宗でやってみる以外に手がなかったかも知れないが、そうカンタンに外国がだませるツモリの政宗が、つまり田舎豪傑であったのである。

彼の本心は、支倉一行が出発しないうちから、すでにイエズス会に見破られていた。司教のセルケイラはイエズス会総長に宛てて、政宗の本心はヤソ教ではなくて、通商であり、彼の領地へフランシスコ会の僧が続々くるようになると、家康の怒りをかって政宗は滅亡するだろう、と手紙している。一行の出発前のことである。この予言はまさに図星であったろう。後手専門の田舎豪傑は二三年たってそれにようやく思い当ったのである。