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あんごのしんにほんちり

安吾の新日本地理

坂口 安吾

06 長崎チャンポン――九州の巻――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,780 字 · 43 页

青空文庫

もしも徳田球一の隠れ家が分った時に、日本の警察はどれだけの警官をくりだすであろうか。五百人か? 千人か? 三千人か? 五千人か? 一万人か? 戦車か? 飛行機か? 原子バクダンか? まさかね。一連隊の警察予備隊以上をくりだしはしないであろう。ところが次兵衛の隠れ家を包囲するには、すくなくとも六連隊、思うに完全武装した三師団ぐらいのものが一時に出動し、これに海軍も加わっていますよ。以下、大村藩の記録を意訳してみましょう。実に残念なのは、私の手もとに浦上の地図がないことで、地図がないと、この三師団と海軍の包囲網がハッキリ分りにくいのですがね。

寛永十二年(であろう。他の次兵衛追跡に関する記録の年月日からみて、そう見るのが正しいようだ。西暦一六三五年)八月、次兵衛が浦上に隠れていると密告する者があって、長崎奉行は四辺の諸藩とレンラクして捜査中、大村領戸根村脇崎の塩焼き(俗に釜司という由)が彼を山中にかくまっているという情報がはいった。そこで長崎の両奉行から城主に出動の命令があった。

大村藩では、家老大村彦右衛門を大将に、家士の全員、諸村の代官所属の全員、小給、足軽、長柄の者は言うまでもなく、領内の土民に至るまで、武士も土民も十六歳から六十歳までの男を全部召集。