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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
10 高麗神社の祭の笛――武蔵野の巻――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,723 字 · 45 页
大和のウネビ、耳成、天の香具山の三山も見栄えのしない低山だ。だが、三山にかこまれた飛鳥古京は小ヂンマリと平々凡々な小さな盆地ながらも累々たる大古墳群にかこまれ、中央政権を争った栄枯盛衰の跡は遺憾なく残っている。飛鳥古京にくらべればコマ村は更に更に小さくて平凡で奇も変もないが、いかに平々凡々の小天地にも栄枯盛衰や血なまぐさい興亡はあって然るべく、概ね避け難いものだ。
コマ村にも多少の興亡はあったようだが、概ね小ヂンマリと無事今日に残っているらしい。その原因の一ツは、コマ村だけは始めから地下に没せずに表向きコマ村で有り得たことにもよるようだ。だがナゼ、表向きコマ村やコマ家で有り得たのだろう。そのナゼは系図の前部がさき去られているので今日では判然しない。
しかしそのコマ家にしても一度は源平の争いからまぬがれることができなかった。そしてそれをきりぬけて残り得たのは、祖神を祀るコマ神社に仕え一生を修験道に捧げて半分山伏生活をしていたせいだと系図は語っているのである。
けれども祖神を祭る大神社をもち大部落民を擁する宮司家や大寺はそのためにむしろアベコベに兵火をうけ易かったものである。