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あんごこうだん
安吾巷談
06 東京ジャングル探検
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,016 字 · 48 页
新宿のアンチャンは自分のジャングルへくるお客からはぎとるが、このジャングルはクラヤミで、凄愴の気がみなぎっているが、訪う趣味家はむしろ無難だ。
上野で危害をうけるのはアベックだそうだ。アベックはジャングルを荒すばかりで、一文のタシにもならないからだ。それにしても音に名高い上野の杜でランデブーするとは無茶な恋人同志があるものだが、常にそれが絶えないというから、やっぱり世の中は広大だ。
上野ジャングルの夜景について、これ以上書く必要はないだろう。私が書いたのは夜景の一部にすぎないが、いくら書いても同じことだ。懐中電燈がパッと光ると、そこには必ずアレが行われているのだから。音もなく、光もなく。地上で、木の蔭で、塀際で。どこででも。
新宿の交番は多忙で、酔っ払いをめぐる事件の応接にテンテコマイをつづける。ところが上野の交番ときては、訪う人もなく、通りかかる人もない。夜間通行禁止だからである。そして交番は全然平和でノンビリしている。
しかし、もしも一足交番をでて懐中電燈をてらすなら、これ又、応接にイトマもない。とてもキリがないことになるから、ジャングルのシジマをソッとしておいて、より大いなる事件の突発にそなえているというわけだ。