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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
02 第一回 高千穂に冬雨ふれり≪宮崎県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,371 字 · 34 页
かくの如くに日向の里人の神様信仰というものは首尾一貫を欠いている。多くの有りがたい神様を自分の里へ降りてきた神様に見立てて、天の岩戸だ、高天原だ、国見の丘だとせっせと聖地を仕立てながら、その聖地ともあろうところでカッポ酒をのませ小便をたれさせる。しかし、これがまさに神楽歌の精神でもあろう。神様が常に最も卑小な人間と同居し人間の生活と重なりあっている。最も卑小な人の生活と重なりあっている。神域を俗をはなれ不浄をたった聖地化しようとするような精神は明治までこの土地では見られなかったものらしく、宮崎神宮なぞが聖地化されたのも明治以後においてであり、天の岩戸で神々が笑いどよめいて、ストリップに打ち興じるようなところが、里人たちの神によせる愛であり、また神々に見出したおのれのふるさとでもあるわけだ。彼らは山上の聖地にデンと便所をかまえることなぞに不都合を感じるイワレを知らないのだろう。このノンキで大らかなのが高千穂族本来の精神というものなのだろう。この土地では飯干にコーロギという変った姓が多く、高天原伝説地の中にただ一ツ「コーロギ」という高天原説話に無関係らしい聖地のまじっているのが異様であるが、これが里人古来の聖地に当るのかも知れない。