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かちくしょくにあまんずるおおくのひとびと
家畜食に甘んずる多くの人々
北大路 魯山人
「独歩 1号」1952(昭和27)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,111 字 · 3 页
三度の飯が食って行けたら結構などと、自分の血肉を侮辱してかかり、身も心もおのれ自身から凡俗化して行く。
平凡な食事の常習、これはまことに恐ろしいことで、否応なしに各人の個性を麻痺させ、三度の食事にさえ自由の精神を失い、気儘な心を圧殺し、自己より進んで凡人の境界へと堕ちて行くのである。
健全な肉体を作り、精神力を養ってくれるものは、まず食事の摂り方からであるとわたしは信じている。
正しき自由の発見、間然するところなき個性の発揮、好むものはあくまでも好む、嫌いはあくまでも嫌う。
この点、山禽、野獣に学んでよいようである。われわれはここらで、そろそろ長年の陋習とはさようならして、家畜扱いから離れていいのではないか。
繰り返しいうようだが、平凡生活は平凡児を生む。多数型という一定の無理型によって、型のごとくさまざまの病人を作る。
なんらかの病気という苦痛を身につけぬ人間は人間でないように、天意を軽視し、粗忽にも無理に生きるからである。山禽、野獣は人間ほど病んでいないようである。
欲する自由食に生きるものと、不自由食に命を支えているものの相違であろう。人間世界は衛生学の発達と薬学の飛躍的発展がありながら、これと競争するかのように、病苦者を次から次へと生んでいる。