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しゅくだい

宿題

小川 未明

「小学四年生」1938(昭和13)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,775 字 · 4 页

青空文庫

戸田は、お父さんがなくて、母親と妹と三人で、さびしく暮らしているときいていたので、賢吉は、つねに同情していました。それで、自分の読んでしまった雑誌を、

「君見るならあげよう。」と、与えたこともありました。

学校へきても、戸田のようすは、なんとなくさびしそうだった。親しい友だちもなく、いつも独りでいました。運動場へ出ても、賢吉のほうから、話をしなければ、だまっているというふうでありました。遠足の日が、近づいたときでした。みんなは、集まれば、楽しそうに、その話をしていました。

「海へいったら、かにをつかまえてこよう。」と、いうものもあれば、

「僕は、きれいな石をたくさん拾ってくるのだ。」と、いうものもあります。

「針と糸を持っていって、魚を釣ろうかな。」

「ばか、そんなことできるもんか、生きているたこを売っているというから買ったらいいよ。」と、いったものもあります。

そんなときでも、戸田は、黙ってみんなの話をきいていました。

「君もいくだろう。」と、賢吉がいうと、戸田は、口のあたりに寂しい笑いをたたえて、うなずきました。

遠足の前の晩でした。賢吉はお母さんにつれられて、明日持っていく、お菓子を買いに出かけました。