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ずいひつ よせばやし

寄席囃子 正岡容寄席随筆集

正岡 容

正岡容『寄席囃子 正岡容寄席随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:随筆 寄席囃子、艶色落語講談鑑賞、随筆 寄席風俗、寄席行灯、わが寄席青春録。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,259 字 · 222 页

青空文庫

尺八の扇遊(立花家)が喨々と吹く都々逸に、初秋の夜の明るい寄席で涙をこぼした頃は、あたしもまだ若い、二十一、二の恋の日だった。が――今でもあの人の尺八に言いがたなき悲哀味が、ことに都々逸を吹く時いっそうに強く滲み出ているように思う。

おしまいに、寄席の、噺家の都々逸は、あまり美声でなく、どこかとぼけていて、やはり昔ながらに「和合人」式の手合いがのんでとろとろ言いながら歌い廻す、その空気のまざまざとでているのを至上とし、また、とこしえにそうあるべきだと信じます。

そのイミで、春風柳のような、よほど高踏な小唄を一つずつ聞かせでもするかのように、ただ、都々逸ばかり立てつづけに歌って、

「さあ、そちらの大将いかがです」

「よッ、心得た。では……」

てな、あの華やかな味の会話の全然オミットされている都々逸などは、音曲師としては下の下です。

そこでやはり、前記の小半治、訛れどもおかしく――と、今は、この両名だけになるのでしょう。

それからはげ亀、〔バンカラ〕辰三郎、〔バンカラ〕新坊、小亀、先代岩てこ、太神楽の人々の都々逸によろしいのが大分当時はありましたが、これはまた別の機会に申し上げます。