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ずいひつ よせばやし

寄席囃子 正岡容寄席随筆集

正岡 容

正岡容『寄席囃子 正岡容寄席随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:随筆 寄席囃子、艶色落語講談鑑賞、随筆 寄席風俗、寄席行灯、わが寄席青春録。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,259 字 · 222 页

青空文庫

「禁酒」「競馬場騒動」「道頓堀行進曲」「流れ木」これらがその時代の私の主なるレパートリーだった。自作や古典の新釈のほかは、西洋人情噺と銘打ってアイッシェ兄弟や最近みまかったトリスタンベルナールの作品、もちろんそれを神戸あたりの世界に直し、随所に和洋楽をはさんで演じた。

大阪で最長期の出演は、千日前の楽天地(今の歌舞伎座)で、何とか座と題して武田正憲、金平軍之助、小笠原茂夫の三君が組織した喜劇グループの幕間余興、今の木下華声君も小猫八で出演していた。今日でいうならアトラクションで、十日ずつ演題を改めてちょうど二カ月出演したが、なにしろこの小屋、日本一台詞のとおりが悪く、どんな怒号する剣戟役者でも必ず一度は調子をやる(声を潰す)という折り紙つきのところの上に、文字どおりの幕間余興で、遠慮なく大道具の金槌の音が噺の最中に響いてくる。尋常一様ではとても演っていられたものではなく、それでもはじめの二日ばかりはまっとうに噺を喋っていたものだが、やめよがしに無遠慮な大あくびをされたり、もういっそう手ひどいのになると私が喋っている舞台のところへ大きく顔を突き出してきて楽屋のほうを覗き込み、「早よう芝居を演ってくれはりまへんか」