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ずいひつ よせばやし

寄席囃子 正岡容寄席随筆集

正岡 容

正岡容『寄席囃子 正岡容寄席随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:随筆 寄席囃子、艶色落語講談鑑賞、随筆 寄席風俗、寄席行灯、わが寄席青春録。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,259 字 · 222 页

青空文庫

で、たいてい察してもらいたい。小原庄助さんではないが、朝寝朝酒朝湯はもちろんのこと、彼らのコーチよろしく、勝負事の嫌いな私が、壺皿を伏せて丁半の真似事までやったりした。

なにしろ家庭がつまらなくて、原稿料を取るとすぐ狭斜街へ、大半以上を費い果たしては帰ってくる私だったのだから、お台所が持つわけがない。酒屋から米屋から肉屋から肴屋、およそ借金だらけにして、たしか昭和七年のはじめ頃か、東京へ夜逃げをしてしまった。北条秀司君の令弟が土地の電灯会社につとめていて、溜った電気代を私の家へ請求にきたが、ついにもらえなかったと、これものちに北条君から聞かされて私は、大恐縮した。

この小田原の生活の中で、今考えてもおかしくてならなかったことがさらに三つある。ひとつは、私の上京中、師吉井勇が、旅行の帰りに立ち寄られた時のことである。師もあの頃は一年の大半を旅ばかりしていられた時代であるから、その時もどこかの旅のお帰りで、かなり旅塵にまみれていられたにちがいない。そうしたら、留守番をしていた小半次が応接に出て、私の帰庵後こう言ったものだ。

「ねえ先生、先生の留守に大先生が見えたけれどネ、私の考えじゃいくらか借りにきたんじゃねえかと思うんだ」