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ずいひつ よせばやし

寄席囃子 正岡容寄席随筆集

正岡 容

正岡容『寄席囃子 正岡容寄席随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:随筆 寄席囃子、艶色落語講談鑑賞、随筆 寄席風俗、寄席行灯、わが寄席青春録。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,259 字 · 222 页

青空文庫

艶色落語講談鑑賞

売色ところどころ

岡場所の歌

戦火に遭うまで大塚の花街に、私たちはいた。先だって輪禍で死んだ三遊亭歌笑の家のすぐそばにあたろう。

その頃女房が教えていた新舞踊のお弟子はたいてい若い妓ばかりだったが、その中の一人が一日やってきて、

「先生、キミサリンって踊りを教えてください」

「キミサリン? そんな風邪薬みたいな踊り知らないわねぇ」

言いつついろいろ考えた末、やっとわかって彼女、思わずふきだした。

その踊りは、歌謡曲に取材したもので、すなわち、君去りぬ。

同じ頃、拙作「花の富籤」を古川緑波君が上演、その前祝いを土地の待合で催したことがあったが、もうそろそろ酒が乏しく、サイレンが時々鳴き出す頃で、昭和十七年おぼろ夜、緑波君と脚色者の斎藤豊吉君と桂文楽、林家正蔵(当時は馬楽)両君と私たち夫婦で、女房の門下生の若い妓がズラリ十何人並んで何とこの勘定が七十余円、思えばゆめです。

そういえば、永らく病臥していた柳家権太楼が、かつては文楽座で名人越路太夫の門人だったとやらで義太夫が自慢、一夜お客と大塚へ来て酔余、義太夫を語ったら、侍った芸者がじつによく弾く。