轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふじ
富士
岡本 かの子
「文芸」1940(昭和15)年11月号~1941(昭和16)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,579 字 · 82 页
水無瀬女は、また「お伯母さまが、なにもかにも持ってらしってしまったのだわ。眷属中の良いところのものを一人で」と託ったが、男のこころまでかくも牽くということを聴くと、うらやましさが嵩じてなった嫉みは、更に毒を加えて燃えさせられ、激しい怒りとなった。女は「お伯母さまが、なにもかにも奪ってってしまいなさるのだわ。あたしの分まで……」こういい直さないわけにはゆかなかった。女のこころは、決闘目となって来た。かにかくに自分は一度伯母に会い、この詰らないでは措けないものをうちかけてみたい気持に、迫られた。
あのつんとすまし、ぬけぬけと白膚を天に聳え立たしている伯母の山が、これだけは拭えぬ心の染班のように雪消の形に残す。伯母にとっては父、自分にとっては祖父の執着未練な人型なるものを見度かった。それを見ることによって自分に一ばん懐しまれる性格の祖神にも会えるような気がした。
母はやや老い、筑波の岳神の家では、働きものの水無瀬が主婦のような形になっていた。世間の男たちからは距てを構えられる女も、家の中の弟妹たちからは母よりも頼みとされ、親しまれた。彼等は外なぞから帰って来ると、まず「姉さまは」