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てらだとらひこのついそう
寺田寅彦の追想
中谷 宇吉郎
「寺田寅彦の追想」甲文社、1947(昭和22)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,683 字 · 40 页
最も迂遠と思われる道が、最も早道であったのである。
ところが海軍側では、原因が電気的のところにあると決まると、責任者を出さねばならないし、殉職者の取扱いなどもひどく変って来るのだそうである。それでこの先生の答申は、大問題になった。勿論海軍側はこぞって反対意見であって、結局実際の航空船について、無電の発信を行って、スパークがとぶか否かの立合実験をするということになったのだそうである。
この事件にはそういうわけで、初めから何となく雲行の激しい気配があった。そのうちに立合実験の少し前に『都』と『国民』との二つの新聞に、この査問会の内容が、三段抜きくらいで出るという奇怪な事件が起きた。そしてその中に「もし無電の波を送って航空船が爆発すればよし、しなければ寺田博士らの面目は丸潰れになるであろう」というような文句まで出ていた。兵器に関する極秘の内容が、こう詳しく新聞に出て、しかも何の問題にもならないのであるから、私達はかんかんに怒ってしまった。
立合実験は十二月二十三日に、霞浦で行われ、先生は勿論参加された。先生の日記には次のように書かれている。
十二月二十三日、火、晴