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てらだとらひこのついそう

寺田寅彦の追想

中谷 宇吉郎

「寺田寅彦の追想」甲文社、1947(昭和22)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,683 字 · 40 页

青空文庫

そして前にも言ったように、この昭和二年には十一篇の論文が英文で発表され、翌昭和三年には英文二十二篇、邦文四篇の論文が印刷されるという状態であった。そしてその精神活動は、ずっとほぼそのままの調子で、亡くなられる年まで続いた。先生の英文は、この頃の一般の大学教授の文章などとは比較にならぬ立派なものであった。ロンドンで英国の中央気象台長のG・C・シムプソン博士に会った時に、先生の電光及び火花の論文の話が出たが、シムプソン博士は「寺田の英文は、大学出の英国人程度だ」と褒めていた。後になって映画に凝っておられた頃、“Image of Physical World in Cinematography”という英文の随筆を、イタリアの“Scientia”という雑誌に書かれたことがある。ちゃんとした essay であって、このエッセイの紹介がネーチュアの紹介欄に出た時は、さすがに先生も一寸お得意のようであった。これを書いておられる頃「どうも随筆も英語で書くと、書いているうちに、いつの間にか程度が高くなるね。読者を意識するつもりはないがやはり向うの方が少し程度が高いようだ」