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しょうらいのにほん

将来の日本

徳富 蘇峰

04 将来の日本

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,399 字 · 240 页

青空文庫

しかしてかの帝王はなにがゆえにこれに自由の特許を与えたるか。なにがゆえにその自治権を放任したるか。なにがゆえにその味方となりてつねにこれを保護したるか。なにがゆえにその通商貿易をば奨励しその進歩に加勢したるか。他なしただ渠輩より租税を出ださしめんがためのみ。つまびらかにこれをいえば、かの常備軍を保つの入費をば負担せしめんがためのみ。いやしくも英国憲法史を一読したる人は知るべし。かの帝王はなにがゆえに都邑の市民をば国会には出席せしめたるか。なにがゆえにまたなんの必要ありて国会を開設したるか。なんの必要ありてかそのもっとも大切なる権理をば吝む気もなく人民に譲与したるか。唯一の必要あるのみ。すなわち兵備を維持する一の必要あるがゆえなりしことを。

かくのごとくその始めにおいては武備を達するの一手段として武備機関のうちに養成せられたれども、かの生産機関なるものはその性質において非常に開発すべきの分子を有したるがゆえに、みすみす一粒の芥子種が春陽に乗じて生長するがごとく、ついに空中を舞うの燕雀さえもその枝に巣くうに至るの勢いとなれり。勢いここに至る。たといかの帝王宰相らはいかに後悔するもいまさら及ぶところにあらず。