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しょうらいのにほん
将来の日本
徳富 蘇峰
04 将来の日本
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,399 字 · 240 页
吾人は実に維新の歴史を読むに際し、いまだ一としてその事業の尋常の原因より出でて尋常の結果に入りたるものを見ず。その前提とその結論とあいともに普通の関係を有したるものを見ざるなり。それ幕府に抗敵し、一戦もってこれを倒したるは薩長二藩なり。二藩たるものはもって幕府の遺跡を継ぎ東西の二大将軍とこそなるべきに、かえって藩籍奉還の議を上りたることこの二藩の率先鼓舞に出でたるはなんぞや。維新の大功臣なるものは問わずして西郷・木戸・大久保の諸氏なるを知るべし。しかして廃藩置県の議のかえってこれら諸氏の主張煽動に出でたるはなんぞや。維新の改革は一の武士が他の武士に向かってその勝を制したる、すなわち武士の改革なり。しかるにかの武士なるものは主として武士の権を殺ぎ、その特例を奪い、その特許を剥ぎ、家禄を没収し、その生命と頼みたる刀剣さえ帯ぶるを禁じたるはなんぞや。人、哲学者にあらず、たれか労してその功を求めざるものあらんや。しかるにかの維新改革の功藩功臣諸氏は電撃雷撃の死地に立ち、万死一生の途を出入し、端なくこれを成就するに際し、かえってその功におるを欲せず。これを天下に推し及ぼし公明正大の政略を採りたるゆえんのものはなんぞや。