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しょうらいのにほん

将来の日本

徳富 蘇峰

04 将来の日本

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,399 字 · 240 页

青空文庫

を読むに実に左の古伝説を見る。しかしてこの古伝説たるやさらにわが東洋の現状に適したるを見るなり。

出雲の簸の川上というところにいたりたもう。そこにひとりの翁と姥とあり。ひとりの少女をすえてかきなでつつ泣きけり。素戔烏尊たぞと問いたもう。われはこの国神なり。脚摩乳手摩乳という。この少女はわが子なり奇稲田姫という。さきに八箇の少女あり年ごとに八岐の大蛇のために呑まれて今このおとめまた呑まれんとすと申しければ、尊われにくれんやと宣う。勅のままに奉ると申しければこのおとめを湯津のつま櫛に取りなし、みずらにさし八の酒を八つの槽にもりて待ちたもうに、はたしてかの大蛇来たれり。頭おのおの一槽に入れて呑み酔うてねぶりけるを、尊はかせる十握の剣をぬきて寸々に切りつ。

ああインドすでに滅び、安南また滅び、ビルマまたついで滅ぶ。剰すところの国もただ名義上において独立国たるを得るのみ。おもうにこれもまた早晩大蛇の腹中に葬るの命運を免れざるや否や。第十九世紀の今日においては八岐の大蛇はあれども素戔烏尊はあらざるか。実に覚束なき時代というべし。それペルシアの前途はいかん。シナの前途はいかん。