轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちいさなできごと

小さな出来事

寺田 寅彦

「中央公論」1920(大正9)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,533 字 · 29 页

青空文庫

今日覗いてみると蜂の巣のすぐ上には棚蜘蛛が網を張って、その上には枯葉や塵埃がいっぱいにきたなくたまっている。蜂の巣と云いながら、やはり住む人がなくて荒れ果てた廃屋のような気がする。この巣のすぐ向う側に真紅のカンナの花が咲き乱れているのがいっそう蜂の巣をみじめなものに見せるようであった。

私はともかくこの巣を来年の夏までこのままそっとしておこうと思っている。来年になったらこの古い巣に、もしや何事か起りはしないかというような予感がある。

二 乞食

ある朝Qが訪ねて来た。

この男は、私の宅へ来る時には、きっと何か一つ二つ皮肉なそして私を不愉快にするような暗示に富んだ言詞を用意して来るように見える。そして話しているうちに適当あるいは不適当な機会を捕えてその言詞を吐き出してしまうまでは落ち付く事が出来ないように見える。ともかくもそれを云ってしまうと、それまでひどく緊張してきつい表情をしていた彼の顔が急に柔らかになってくる、そして平生気持の悪いような青黒い顔色には少し赤味さえさして来て、見るから快いような感じに変化するのである。

私はこの男の癖をよく知っていて、かなり久しく馴らされているし、またそのような特殊な行為の動機も充分に諒解しているので、別に大して気にしないつもりではいるが、それでもこの男と話し