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ちいさなおとうと、りょうちゃん
小さな弟、良ちゃん
小川 未明
「子供のテキスト」1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,039 字 · 7 页
良ちゃんは、お姉さんの持っている、銀のシャープ=ペンシルがほしくてならなかったのです。けれど、いくらねだっても、お姉さんは、
「どうして、こればかしは、あげられますものか。」と、いわぬばかりな顔つきをして、うんとはおっしゃらなかったのでした。
お姉さんは、良ちゃんをかわいがっていました。英ちゃんや、義雄さんよりも、かわいがっていました。それは、良ちゃんはまだ小さくて、やっと今年から学校へ上がったばかりなのですもの。
「お姉さん、その光った、鉛筆をおくれよ。」と、また思い出したように、お姉さんのところへやってきました。いままでにも、だめといったのが、無理に頼めば、しまいにはきいてもらえたので、シャープ=ペンシルにしても、いつか自分のものになると思ったからです。
「こればかりは、だめよ。」と、お姉さんは、おっしゃいました。
「だめ? じゃ、ちょっと僕に見せておくれよ。」と、良ちゃんは、小さい手を差し出しました。
「だめよ。なんといっても、これは、良ちゃんにあげられません。お姉さんが、使っているのですもの。」
「見せて、おくれよ。」と、良ちゃんは、けっして、自分のものにはしないから、ただ手に取らしてよく見せてくれないかということを、顔色に現していいました。