轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちいさなたび
小さな旅
富田 木歩
「俳句世界」1918(大正7)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,532 字 · 6 页
この町のこうした情調に酔いつゝある間に俥は姉の家へ這入るべき路地口へついた。蝶のように袂をひらめかしながら飛んで来た小娘が「随分待ってたのよ」と云う、それは妹であった。
家に入ると、姉は私を待ちあぐんで、既に独酌の盃を重ねているのだった。私も早速盃を受けて何杯かを傾けた。
俳句などには何の理解も持たぬ姉ながら妹に命じて椽の障子を開けさせたり、窓を開かせたりして私を喜ばしてくれるのは身にしみて嬉しかった。
三坪ほどしかない庭の僅か許りの立木ではあるが、昨年来た時の親しみを再び味わしてくれるのに充分である。昨日植木屋を入れて植えさせたと云う薪のような松が五六本隅の方に押し並んで居るのも何となく心を惹く。手水桶を吊り下げてある軒端の八ツ手は去年来た時よりも伸び太って、そのつやつやしい葉表には美しい灯影が流れている。
五勺ほどの酒でいゝ気持になった。
墓地越しに町の灯見ゆる遠蛙
行く春の蚊にほろ醉ひのさめにけり
こうした句作境涯に心ゆくばかり浸り得さしてくれた姉に感謝せざるを得ない。恰も如石が来たので妹などゝ椽先に語り合った。
五月七日
鶉來鳴く障子のもとの目覚めかな