轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

小出楢重『小出楢重随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:楢重雑筆、めでたき風景、油絵新技法、大切な雰囲気。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,351 字 · 657 页

青空文庫

怪説絹布団

私はこの好人物を一生涯休憩させておきたいと思いますが、どうも彼の家族と、一九二六年という年代がそれを許すまいと思われますので、何とも致し方がありません。しかし私は町内にM君のような人がぼんやりと存在していないと、大変世の中が味なく思えて堪りません。(「週間朝日」昭和二年一月)

怪説絹布団

この話は、しばしば友人仲間へは伝えた事のある古い話ではありますが、丁度昨今時候も初秋に入るに及び、偶然思い出しましたまま書き記す次第であります。

大体世の中で何が一番怖ろしいと申しましても人間位い怖ろしいものはありません、妖怪や狐狸変化の類に噛殺されたものは尠いが、大概の人間は、常に人間に悩まされているようであります。

私が美校を出て三、四年うろうろしていた或秋のことでした、私は風景写生がして見たさに奈良へまいりまして、そこで或人の紹介で金持ちの後家さんの離座敷を借受ける事になりました。

その家は木辻遊廓の近くにありまして、奈良特有の低い屋根で蔽われた暗い家でした、主人の後家さんというのは、何んでも亭主にも養子にも逃られたという事で、今は女中も置ない完全な一人暮しでありました、年は六十幾歳という、頗る萎びた老人でありました。