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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
小出楢重『小出楢重随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:楢重雑筆、めでたき風景、油絵新技法、大切な雰囲気。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,351 字 · 657 页
私の貧しい経験では、時代ものは相当の参考資料さえ整頓すれば絵を作る事は比較的容易であると思うが、現代ものになるとモチーフの万事が実在の誰れでもが知っている処のものであるから相当の写生が必要であり、同時に写生そのものは挿絵ではないので、それを絵に直す処に画家の興味があり、実在が挿絵と変じて現れるまでの段階と手数に、かなりの興味が持てるのである。
そしてその画稿が紙面に現われた時の感じというものは、また別の趣きを現すものである。下絵の時に気附かなかった欠点が紙面に現れてから目立つ時もある。ちょっとした不満な点を見出すときその日一日私は不愉快である。
しかしながら挿絵は普通の油絵の如く、一人一枚の所有ではなく、一枚が何万枚となり各人が悉く所有し得る事なども、挿絵の明るき近代的な面白さである。
挿絵は、新聞の紙質や製版の種類についても考える必要があると思う。目下の、日本の新聞紙の紙質では、どうも網目版がうまく鮮明に現れにくい。絵を線描のみでなく淡墨を以て調子づけたりする事も結構だが、どうも鮮明を欠く嫌いがある。最も朝刊の小説の方では挿絵の画面が三段位いを占領しているから相当がまん出来るが、夕刊の二段ではどうも網目版は見劣りがするし、上方の写真ニュースや広告と混同してしまって引立たない。