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こいずみやくものかていせいかつ
小泉八雲の家庭生活
萩原 朔太郎
室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,379 字 · 33 页
と言って大満足なので、『あなた西洋臭くないでしょう。しかし、あなた鼻高い。眼青い。駄目です』などと夫人にからかわれ、『あ、どうしよう、私この鼻』など言って悄気返り、『真ッぴら、真ッぴら』と、今おぼえたばかりの日本語を面白がって使ったりして、夫人や女中たちを大笑いさせたりしているのだが、その後で、『しかし、よく思うて下さい。私この小泉八雲、日本人よりも本当の日本を愛するのです』と言ったヘルンは、真に日本を熱愛した詩人であった。晩年多少日本に幻滅を感じた時でさえも、他の外人が日本を悪意的に批評する時、いつも憤然として大に怒り、さながら自分の愛人を侮辱された時の騎士のごとく、鋭い反撃の槍をふるって突き当って行った。そうした八雲の心理は、我が子の魯鈍に幻滅を感じてる親が、他人から、その愛児の悪評を聞いて怒る心理と、よく似たものであったと思われる。
日本が西洋臭くなり日本の文化や風俗やが、日々にますます欧米化して来ることは、ヘルンにとって忍びがたい悲哀であった。なかんずくヘルンを最も悲しませたのは、盆踊等の農村行事や風俗やが、明治政府によって禁圧されたことから、自然に衰褪して来ることだった。