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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

在线阅读徳冨 蘆花《小説 不如帰(しょうせつ ほととぎす)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,742 字 · 256 页

青空文庫

八の一

母子は冷然として別れぬ。

横須賀より乗るべかりしを、出発に垂んとして障ありて一日の期をあやまりたれば、武男は呉より乗ることに定め、六月の十日というに孤影蕭然として東海道列車に乗りぬ。

八の一

宇治の黄檗山を今しも出で来たりたる三人連れ。五十余りと見ゆる肥満の紳士は、洋装して、金頭のステッキを持ち、二十ばかりの淑女は黒綾の洋傘をかざし、そのあとより五十あまりの婢らしきが信玄袋をさげて従いたり。

三人の出で来たるとともに、門前に待ち居し三輛の車がらがらと引き来るを、老紳士は洋傘の淑女を顧みて

「いい天気じゃ。すこし歩いて見てはどうか」

「歩きましょう」

「お疲れは遊ばしませんか」と婢は口を添えつ。

「いいよ、少しは歩いた方が」

「じゃ疲れたら乗るとして、まあぶらぶら歩いて見るもいいじゃろう」

三輛の車をあとに従えつつ、三人はおもむろに歩み初めぬ。いうまでもなく、こは片岡中将の一行なり。昨日奈良より宇治に宿りて、平等院を見、扇の芝の昔を弔い、今日は山科の停車場より大津の方へ行かんとするなり。

片岡中将は去る五月に遼東より凱旋しつ。一日浪子の主治医を招きて書斎に密談せしが、その翌々日より、浪子を伴ない、婢の幾を従えて、飄然として京都に来つ。