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しょうねんのし

少年の死

豊島 与志雄

「新潮」1916(大正5)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,400 字 · 27 页

青空文庫

倉さんや常さんなどは殆んど顔を見せなかった。そして金さんはその頃から暫くの予定で砲兵工廠に出るようになった。

庄吉は相変らず大留の仕事場に通っていた。それは、金次郎がまた造兵の方を止めて大留の世話になる時のためと、堅吉が来年の春小学校四年を終えて大留に年季に上る時とのために、大留の機嫌を損じないようにというおせいの算段からであった。何れは商店の小僧にやらるるのだということが庄吉にも呑込めてきた。

庄吉はよく外に佇んで、家の中の話を立聞きした。

或日の夕方彼はまたそっと自分の家の裏口に忍び寄った。中はいつもと違って妙にひっそりとしていた。「何かあったに違いない」と彼は思った。長い間立っていたが何の物音もしないので、彼は我を忘れてそっと台所口から覗こうとした。妙な好奇心が露わに彼の胸を躍らした。

その時急に彼の肩口を掴んだ者があった。ふり返るとおせいであった。彼女は顔をてかてかさして手に石鹸箱を下げていた。

庄吉は無言のまま家の中に引きずり込まれた。

「何をしていたんだい。さあお云い。」と小母さんは怒鳴った。

「何を図々しく黙っているんだい。云わなけりゃあ、こうしてやる。