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しょうねんのし
少年の死
豊島 与志雄
「新潮」1916(大正5)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,400 字 · 27 页
彼はともすると小父さんの螺鑽をいじってみたくなった。
棟梁は螺鑽を持っている彼の姿を見て微笑んだ。
「今少し辛抱しなくちゃいけない。今に一人前にしてやるから。これで鑽を使うことは中々難しいんだ。頭が歪けないでしっかりしていないと鑽は真直に入らないものだ。性根を真直にすることが第一だ。」
庄吉にはその意味がよく分らなかったけれど、常々の棟梁の言葉からして、道具を使うのも単に使うだけでないことが朧ろげに呑込めていた。そして頭領は何かしら偉いものを持っているように思えてきた。皆の者がいつも黙ってその云うことを聞いているのが、本当だと云う気がしてきた。
何時か庄吉も一度棟上げに連れて行って貰ったことがあった。大留の下についてる大工達の外に多くの仕事師達もやって来た。まだ新鮮な香りのする白木の桁構えのうちには、健やかな気分が漲っていた。頭が上にあがって音頭を取った、そして大勢の衆の木遣りの唄につれて棟木がゆるゆると上に引き上げられた。庄吉は勇ましい頭の姿を見た、それから御幣と扇と五色の布とがつけてある大黒柱の神々しさを見た、そしてまた革の印絆纒を着て少し傍に離れて立っている棟梁の鹿爪らしい顔を見た。